妊婦の夜勤はいつまで?妊娠中に深夜業の免除を請求できるルール

妊婦の夜勤で請求できるルールと職場への伝え方を紹介する記事のアイキャッチ

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妊娠が分かったけれど、シフトには夜勤が入っている。このまま続けていいのか、職場にどう切り出せばいいのか、迷っている方も多いですよね。

結論から言うと、妊婦の夜勤は、本人が職場に請求すれば外してもらえるルールがあります。労働基準法第66条で、妊娠中の人が請求した場合、会社は深夜業をさせてはならないと決まっているんです。

この記事を読めば、妊娠中の夜勤で使える制度と、職場への伝え方の手順と例文、夜勤を外れた後の働き方が分かります。

目次

妊娠中でも夜勤は続けないといけない?

先に結論

妊娠中の夜勤を続けるかどうかは、本人が決められます。外してほしい時は「深夜業をしないようにしてほしい」と職場に請求すれば、会社はその人を22時から5時の時間に働かせることはできません。

『人手が足りないし、私が抜けたら迷惑になるかも』と考えてしまうのは自然なことです。ただ、これは職場の好意でお願いするものではなく、法律で決まっている働く人の権利なんです。

労働基準法第66条第3項では、妊産婦が請求した場合、使用者は深夜業をさせてはならないと定めています。深夜業とは、午後10時から午前5時までの間に働くことです。

ここでいう妊産婦は、妊娠中の女性と、産後1年を経過しない女性のことです。正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣で働いている人も、労働基準法で守られる働く人にあたります。

「請求すれば」がポイント

このルールは、本人が請求した時に使えるものです。妊娠を報告しただけで、自動的に夜勤がなくなるわけではありません。

逆に言えば、本人が夜勤を続けたいと考えている場合は、続けることもできます。続けるか外れるかを、自分の体調や家族と話して決められる仕組みなんです。

場面夜勤はどうなる?
妊娠を報告しただけシフトはそのまま。職場が配慮してくれることはある
深夜業をしないよう請求した22時から5時の時間には働かせてはならない
本人が夜勤を続けたいと伝えた続けられる。途中で請求に切り替えることもできる
産後1年までの間に請求した同じく深夜業をさせてはならない

『いったん続けると言ったら、もう外してもらえないのでは』と心配な方もいるかもしれません。請求は、続けている途中からでもできます。

妊娠中に請求できる深夜業・時間外・休日の制限を一覧にした図解

労働基準法第66条で請求できる3つのこと

深夜だけでなく、残業と休日出勤も制限できる

第66条で請求できるのは、深夜業だけではありません。時間外労働(残業)、休日労働、変形労働時間制で1日8時間・週40時間を超えて働くことも、請求すればさせてはならないと決まっています。

夜勤のことで頭がいっぱいだと、残業や休日出勤のことまで考えが回らないですよね。実は、夜勤を外れても長い勤務が残っていると、体の負担はあまり変わらないこともあるんです。

請求できること条文夜勤の職場での意味
深夜業をしない第66条第3項22時から5時の時間のシフトに入らない
時間外労働をしない第66条第2項決められた時間を超える残業をしない
休日労働をしない第66条第2項休日の出勤を頼まれても入らない
変形労働時間制で長く働かない第66条第1項1日8時間・週40時間を超える勤務をしない

この3つは、全部まとめて請求することも、必要なものだけ選んで請求することもできます。

16時間の夜勤がある職場では特に大事

介護や病院の2交代制では、夕方から翌朝まで16時間前後の夜勤になることが多いですよね。こうした長い勤務は、1か月単位の変形労働時間制などを使って組まれていることがよくあります。

第66条第1項を請求すると、変形労働時間制の職場でも、1日8時間・週40時間を超えて働かせることはできません。つまり、深夜業の請求と合わせると、16時間の夜勤からは外れることになります。

2交代と3交代の違いや勤務の長さは、2交代制と3交代制の違いで詳しく紹介しています。

育児の深夜業の制限との違い

出産した後、子育て中の深夜業を制限する制度もあります。育児・介護休業法第19条で、小学校に入る前の子を育てている人が請求すると、22時から5時の深夜に働かせてはならないと決まっています。

比べる点妊産婦の深夜業の制限子育て中の深夜業の制限
法律労働基準法第66条育児・介護休業法第19条
対象妊娠中と産後1年まで小学校に入る前の子を育てる人
請求のしかた職場に請求する1回につき1か月以上6か月以内の期間を、開始の1か月前までに請求する
例外条文に職場の都合の例外の書き方はない事業の正常な運営を妨げる場合は除く
対象外の人定めなし継続雇用1年未満の人など

産後1年までは第66条、その後は育児・介護休業法と、時期によって使う制度が変わります。子育てと夜勤の両立は、夜勤と家族の暮らしでも紹介しています。

補足

法律の扱いは改正されることがあります。最新の内容は、厚生労働省のサイトや職場の就業規則で確かめておきましょう。

妊娠初期の夜勤、いつ・誰に・どう伝える?

伝える順番を決めておくと、話しやすい

妊娠初期は、まだ周りに知られたくない時期でもありますよね。まずは直属の上司に、夜勤をどうしたいかと、いつからそうしたいかを伝えるのが話しやすい順番です。

『妊娠初期の夜勤のことを、どのタイミングで言えばいいの?』という悩みはとても多いです。ここでは、伝える前の準備から、シフトに反映されるまでの流れを表にしてみました。

いつ誰に何をする
妊娠が分かってすぐ家族や医療機関夜勤を続けるか外れるか、体調をふまえて考える
次のシフトが決まる前直属の上司妊娠したこと、夜勤をどうしたいかを伝える
話した当日から数日以内上司・シフト担当外れる時期と、残業・休日出勤の希望も伝える
必要に応じて人事・労務の担当請求を書面で出す、手続きの流れを聞く
シフトが出た時シフト担当夜勤や長い勤務が入っていないか確かめる
体調や希望が変わった時上司続けていた夜勤を外れたい、などを改めて伝える

シフトは数週間先まで決まっている職場が多いです。次のシフトを作る前に伝えておくと、職場も調整しやすくなります。

話す前に決めておきたいこと

上司と話す前に、自分の希望をメモにしておくと落ち着いて話せます。

伝える前のメモ
  • 夜勤を外れたいか、当面は続けたいか
  • 外れたい場合、いつのシフトからか
  • 残業や休日出勤も控えたいか
  • 日勤なら何時から何時まで働けそうか
  • 周りにいつ頃まで伏せておいてほしいか

周りに伏せておいてほしい時は、そのことも最初に伝えておきましょう。シフト担当にだけ共有してもらう、という形にしてもらえることもあります。

伝え方の例文

言いにくい話ほど、短く用件から入るのがおすすめです。例えば、こんな言い方があります。

「少しお時間いいですか。実は妊娠が分かりまして、来月のシフトから夜勤を外していただきたいと考えています」

「労働基準法で深夜業の制限を請求できると知ったので、その形でお願いできますか。日勤でしたら、これまで通り入れます」

上司から『夜勤は難しいけど、残業は大丈夫?』と聞かれることもあります。その時は、次のように伝えてみてください。

「できれば残業や休日の出勤も控えたいです。そちらもあわせて請求という形でお願いしたいです」

書面で出す時の書き方

口頭で伝えた後、職場によっては書面で出すように言われることがあります。決まった書式がない時は、次の項目を書いておけば十分伝わります。

書面で請求する時の流れ
  1. 宛先(会社名・代表者または上司の名前)と日付を書く
  2. 「労働基準法第66条に基づき、深夜業の制限を請求します」と書く
  3. 時間外労働・休日労働も請求する場合は、その旨を書き足す
  4. 開始したい日を書く
  5. 自分の名前を書いて提出し、控えを手元に残す

控えを残しておくと、シフトの行き違いがあった時に確かめやすくなります。

妊娠中に夜勤を外れたい時に職場へ伝える順番を示した図解

派遣やパートで働いている時の伝え方

派遣で働いている場合は、働いている職場の上司だけでなく、派遣会社の担当者にも伝えておきましょう。シフトや契約の内容は、派遣会社と職場の間で決まっていることが多いからです。

『派遣だと、夜勤を外れたら契約が切れるのでは』と心配になりますよね。まずは担当者に、夜勤を外れた形で同じ職場に続けられるか、日勤の仕事に移れるかを聞いてみてください。

パートやアルバイトの場合は、シフトを決めている店長やリーダーに伝えるのが早道です。週に何回、何時から何時まで入れるかを具体的に伝えると、調整してもらいやすくなります。

働き方まず伝える相手あわせて伝えたいこと
正社員・契約社員直属の上司残業・休日出勤の希望
パート・アルバイト店長・シフト担当入れる曜日と時間
派遣派遣会社の担当者と職場の上司日勤の仕事への切り替えの希望

夜勤を続ける間に、職場と決めておきたいこと

続けるなら、休憩と勤務の中身を見直す

しばらく夜勤を続けると決めた場合も、そのままのシフトで頑張る必要はありません。休憩のとり方や担当する作業を、職場と相談して決めておきましょう。

『妊娠したけど、夜勤の方が手当がつくから続けたい』という方もいますよね。続ける時は、無理なく働ける形を職場と一緒に考えておくことが大事なんです。

休憩と仮眠をきちんととる

労働基準法第34条では、6時間を超えて働く時は45分以上、8時間を超える時は1時間以上の休憩を、勤務の途中に与えると決まっています。休憩は自由に使える時間でないといけません。

夜勤の職場では、休憩中もナースコールや電話に出るよう言われることがありますよね。呼ばれたらすぐ対応しないといけない待機は、休憩ではなく働いている時間として扱われることがあります。

休憩の決まりと仮眠の考え方は、夜勤の休憩と仮眠のルールで詳しく紹介しています。

職場に相談しておきたいことのチェックリスト

夜勤を続ける時に相談しておくこと
  • 休憩と仮眠を、決まった時間にとれるようにしてもらう
  • 一人きりで担当する夜勤を避けてもらう
  • 重い物を運ぶ作業や、長く立ち続ける作業を減らしてもらう
  • 体調が悪くなった時に、誰に連絡して交代してもらうか決めておく
  • 夜勤の回数を減らす、または時間を短くする

一人夜勤の職場では、体調が悪くなった時にすぐ代わりを呼べないことがあります。連絡先と交代の手順を、夜勤に入る前に確かめておくと安心です。

健康診断の機会も活用する

深夜業を含む業務に常に従事する人は、6か月以内ごとに1回、会社の健康診断を受けることになっています(労働安全衛生規則第45条)。夜勤がある職場で健康診断が年2回ある理由はここにあります。

健康診断の仕組みは、夜勤の健康診断は年2回?で詳しく紹介しています。

よくある失敗

「まだ大丈夫」と思って何も相談しないまま、体調が悪い日に夜勤を迎えてしまうことがあります。続けると決めた時こそ、交代の頼み方を先に決めておきましょう。

体調に少しでも不安がある時は、自己判断で続けず、かかりつけの医療機関に相談してください。医療機関で聞いた内容を、職場に伝える時の参考にするのもひとつの方法です。

夜勤を外れた後の働き方とお金のこと

深夜手当がなくなる分を、先に把握しておく

夜勤を外れると、22時から5時に働いた分に付いていた深夜割増(25%以上)がなくなります。月のお給料がどのくらい変わるか、早めに確かめておくと安心です。

『夜勤を外れたら、お給料が減って生活が苦しくなるかも』という不安は、多くの方が感じることですよね。どのくらい変わるかを計算しておくと、家計の見通しが立てやすくなります。

深夜割増がなくなると、どう変わる?(例)

仕組みを分かりやすくするため、例の数字で計算してみます。金額はすべて説明のための例です。

項目(例: 時給1,200円の場合)夜勤(22時から翌6時・休憩1時間)日勤(9時から17時・休憩1時間)
働く時間7時間7時間
基本のお給料8,400円8,400円
深夜割増(300円 × 6時間)1,800円なし
1回の合計10,200円8,400円

この例では、夜勤1回を日勤1回に置き換えると、1回あたり1,800円の差になります。夜勤手当が別に決まっている職場なら、その分も変わります。

深夜手当の計算のしかたは、深夜手当の計算方法で詳しく紹介しています。

夜勤を外れた後の働き方の選び方

夜勤を外れた後の働き方は、職場の状況によっていくつかの形があります。

働き方どんな形か確かめたいこと
同じ職場で日勤だけにする夜勤のシフトから外れて、日勤に入る日勤の人数に空きがあるか
勤務時間を短くする日勤の時間を短くして働く短い勤務の制度があるか
別の部署に移る夜勤のない部署で働く仕事内容と通勤の変化
職場を変える夜勤のない仕事を探す産後の働き方まで考えて選ぶ

日勤と夜勤の働き方の違いは、日勤と夜勤の違いでも比べています。

職場に夜勤のない枠がない時は

小さな職場や、夜勤を前提にした仕事では、日勤に移れる枠がないこともあります。そんな時は、出産後も見すえて、夜勤のない仕事に変えることを考える方もいます。

仕事を探す方法は、ハローワーク、求人サイト、派遣会社などがあります。派遣会社の中には、日勤だけ・時間を選べる求人を扱っているところもあるので、相談してみるのもひとつの方法です。

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今の職場を辞めるかどうかは、急いで決めなくて大丈夫です。まずは今の職場でどんな形なら続けられるかを聞いてから、比べてみてください。

妊婦の夜勤でよくある相談

迷ったら、制度を知った上で自分で選ぶ

妊婦の夜勤の相談は、「続けていいのか」「断っていいのか」「職場に言いにくい」の3つに分かれることが多いです。どれも、制度を知っておくと答えが見えやすくなります。

ここでは、妊娠中の夜勤についてよく寄せられる相談を、一般的な形にまとめて答えます。

妊娠が分かったら、すぐに夜勤は控えたほうがいい?

妊娠が分かった時点で、夜勤を続けるか外れるかを考え始める方が多いです。法律上は、請求すればいつからでも深夜業を外れられます。

続けるかどうかは、体調と仕事の内容によって変わります。迷う時は、かかりつけの医療機関で夜勤の仕事をしていることを伝えて相談してみてください。

その上で、外れると決めたら、次のシフトが決まる前に上司へ伝えておくとスムーズです。

妊娠初期で週1回の夜勤がある。続けても大丈夫?

週1回でも、続けられるかどうかは人によって違います。この記事で答えられるのは、続けるかどうかを自分で選べる、というところまでです。

続ける場合は、休憩と仮眠をとれるか、一人きりの夜勤にならないかを確かめておきましょう。少しでも不安があれば、早めに医療機関に相談してくださいね。

週1回の夜勤なら、日勤に置き換えてもらいやすい職場も多いはずです。『まだ言わなくていいかな』と迷ったまま先延ばしにせず、次のシフトの前に一度相談してみると気持ちも楽になりますよ。

上司に「夜勤に入って」と言われた。断ってもいい?

妊娠中の人が深夜業をしないよう請求した場合、会社はその人に深夜業をさせてはならないと決まっています(労働基準法第66条第3項)。

まずは「深夜業の制限を請求します」とはっきり伝えて、できれば書面でも出しておきましょう。それでも夜勤を求められる時は、会社の人事・労務の担当や、労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談できます。

職場の同僚が妊娠した。夜勤のことで気をつけることは?

同僚の立場では、本人が夜勤を続けるか外れるかを決められる、と知っておくことが大事です。続けたいと言う人もいれば、外れたい人もいます。

『夜勤は無理だよね』と周りが先に決めてしまうと、本人が言いにくくなることもあります。本人の希望を聞いて、シフトの調整に協力する形がいちばん話しやすいはずです。

よくある質問

妊娠中の夜勤は、何週目から外してもらえますか?

労働基準法第66条の深夜業の制限は、妊娠中であれば時期を問わず請求できます。妊娠初期でも、請求すれば22時から5時の時間には働かせてはならないとされています。

パートやアルバイトでも、夜勤の免除を請求できますか?

はい、パートやアルバイト、派遣で働いている人も請求できます。派遣の場合は、派遣元の担当者にも早めに伝えておくと調整がスムーズです。

夜勤を外れたら、深夜手当はどうなりますか?

22時から5時に働かなくなるので、その時間に付いていた深夜割増はなくなります。月のお給料がどのくらい変わるか、日勤の回数とあわせて計算しておきましょう。

出産後も夜勤を外れたままにできますか?

産後1年までは、労働基準法第66条で深夜業の制限を請求できます。その後も小学校に入る前の子を育てている間は、育児・介護休業法第19条の深夜業の制限を請求できる場合があります。

職場に請求を断られたら、どこに相談すればいいですか?

まずは会社の人事・労務の担当に相談してみてください。それでも解決しない時は、労働基準監督署の総合労働相談コーナーで相談できます。

まとめ

この記事の要点
  • 妊娠中と産後1年までの人が請求すると、会社は深夜業をさせてはならない
  • 時間外労働・休日労働・変形労働時間制での長い勤務も、請求すれば制限できる
  • 伝える時は、次のシフトが決まる前に直属の上司へ、希望を短く伝える
  • 夜勤を続ける場合も、休憩・一人夜勤・交代の手順を職場と決めておく
  • 夜勤を外れると深夜割増がなくなるので、お給料の変化を先に計算する
  • 体調に不安がある時は、自己判断で続けず医療機関に相談する
夜勤ガイド

夜勤ガイド 編集部

夜勤の仕事の種類や探し方、深夜手当や休憩のルール、介護・工場・コンビニなど業種別の働き方、夜勤明けの過ごし方まで、夜勤で働く人と夜勤を始めたい人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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